「シャープ・オブジェクト」全米の批評家によるレビューサイト"ロッテントマト"で支持率93%※と高評価!

2019.03.19 海外ドラマ

アトランタ郊外の小さな町に創りだした、卓越した才能たちによる架空の街"ウィンド・ギャップ"とは?

海外TVシリーズ「シャープ・オブジェクト KIZU-傷-:連続少女猟奇殺人事件」を2019年4月3日(水)よりブルーレイ発売、DVDレンタルを開始いたします。

本作は『ゴーン・ガール』原作者ギリアン・フリン衝撃のデビュー作「KIZU-傷-」を完全実写化。エイミー・アダムス演じる主人公の女性記者が独裁的で過保護な母親の影響により抱えてしまった過去のトラウマと闘いながら、故郷の街で起こった連続少女猟奇殺人事件の犯人を追っていく極限のサイコ・サスペンスです。後味の悪いストーリー展 開が、クセになって観れば観るほどハマってしまうと話題の本作。いよいよリリースが4月3日(水)に迫る中、ライターの細谷佳史氏より、本作が高い評価を得る理由、さらに本作の舞台となる架空の街"ウィンド・ギャップ"の撮影地を訪問した際のレポートが到着いたしました。

登場人物たちの人間関係が複雑に絡み合いながら、衝撃のラストに向かう・・・極限の新感覚サイコ・サスペンス!

『ゴーン・ガール』で一躍注目を浴びた女流作家ギリアン・フリンのデビュー小説を、エイミー・アダムス主演で映像化した「シャープ・オブジェクト KIZU-傷-:連続少女猟奇殺人事件」は、間違いなく、2018年に全米放映されたTVシリーズを代表する1本だ。全米の批評家たちのレビューを集めたサイト"ロッテントマト"でも、支持率93%※という高評価を獲得。第76回ゴールデングローブ賞®では、リミテッドシリーズ/テレビムービー部門で、作品賞、主演女優賞、助演女優賞の主要3部門でノミネートされ、パトリシア・クラークソンが見事、助演女優賞に輝いた。※2018.10.24時点

ミズーリ州の小さな町"ウィンド・ギャップ"で、ティーンの少女を狙った連続殺人事件が起きる。その町で育ったアダムス扮する新聞記者カミールは、事件を追って久々に故郷に戻ってくるが、そこで自分自身の暗い過去と向き合うことを強いられる。カミールに対して子供時代から冷淡な態度を取り続けるクラークソン演じる母親のアドーラ、ワイルドな一面を持つ腹違いのティーンの妹アマ、カンザスシティからやってきたFBI捜査官のリチャード、この3人とカミールの関係が複雑に絡み合いながら、衝撃のラストに向かって、じわじわとドラマを盛り上げていく。

アダムス、クラークソンを始めとするベテラン勢の演技の上手さはもちろんだが、アマ役のエリザ・スカンレン、殺人事件の被害者の兄ジョン役テイラー・ジョン・スミス、ジョンの恋人アシュリー役のマディソン・ダヴェンポートら若い役者たちがみな素晴らしい。特にスカンレンは、今後、大いに注目すべき才能と言っていいだろう。そして、この作品を他のTVドラマと比べ、芸術的に際立った作品にしているのは、ジャン=マルク・ヴァレの斬新で卓越した演出力だ。映像とモンタージュ、センスのいいサントラの絶妙の組み合わせで、脚本では決して伝えられない主人公の微妙な感情やシーンのニュアンスを巧みに表現する。ヴァレが今ハリウッドで最も魅力的で目の離せない監督なのは間違いない。また、TVシリーズでは通常、1話ごとに監督が変わるケースが多いが、今回は8話全てをヴァレ自身が演出していることで、彼の作家性がシリーズを通して貫かれている。毎回、オープニングのタイトルシークエンスで、1951年の名作「陽のあたる場所」のスコアを違うアレンジで聞くことが出来るのも新鮮なア イディアだ。

それから、この作品のもう一つのキャラクターと言えるウィンド・ギャップの町を見事に具現化したロケーション選びもさすがだ。物語の中では、この架空の町"ウィンド・ギャップ"はミズーリ州となっているが、実際に撮影されたのは、ジョージア州にあるバーンズヴィルという、アトランタ郊外の小さな町。一昨年の夏、撮影が終わって1年以上後にこの町を訪れたが、今でも町中には、"ウィンド・ギャップ"の壁画や、撮影に使われた装飾が残っており、地元の人たちは、自分たちの町が作品の舞台となったことを誇りに感じているようだった。原作者のフリンも、「この町は"ウィンド・ギャップ"にとってパーフェクトなロケーションだ。それはほとんど、私が小説を書いているときに思い描いていたものを基に選ばれたように感じられる」と、地元の出版物の中で語っている。

アメリカ中西部のミズーリ州は、南北戦争では、奴隷制反対の合衆国側でありながら奴隷州でもあったため、南部に近い場所では、南軍支持者たちも多かったのだろう。第5話にカルホーンデイという南軍を讃えるフェスティバルが登場するが、これは架空のフェスティバルで、実際にあるものではない。奴隷制を支持した南軍を讃えるフェスティバルというのは今ではコントラバーシャル(議論を引き起こす)だが、南部のいくつかの州では今でもそういった行事が実際に行われている。「シャープ・オブジェクト KIZU-傷-:連続少女猟奇殺人事件」は一級のサスペンスであるだけでなく、そういったアメリカ中西部の保守的な面や、どこかミステリアスで危険な雰囲気を、多くのディテールを積み重ねることで見事に伝えている。

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